子どもの中学受験で「シングルマザーだと不利になる」という噂を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。本当に不利になるのか、全ての中学校が当てはまるのか、また解決方法はあるのかなど不安になっている人も多いでしょう。
この記事では、シングルマザーが不利になるという噂が本当なのかを説明するとともに、中学受験にかかる費用やシングルマザーが受けられる補助金等について徹底解説します。
目次
シングルマザーは中学受験が不利?その理由とは?
3組に1組が離婚しているといわれる現代において、シングルマザーの家庭は珍しくありません。それでもなお「シングルマザーだと、子どもの中学受験が不利になる」という噂があり、不安にかられる人も多いようです。なぜ不利だと噂されているのか、それには2つの理由が関係しています。2つの理由について、順に説明していきます。
経済的な理由
1つめの理由は、お金の問題です。シングルマザー世帯は、共働き世帯と比較すると年収が少なめなところが多く、たとえ「生活するうえでは困らない」状況であったとしても中学受験にチャレンジするとなると困る場面がでてきます。
中学受験をする場合は、
- 毎月の塾の費用
- 自宅から塾までの交通費
- 定期的に行われる模試の費用
- 夏期講習費や冬期講習費等
- 塾の教材費
などのお金が必要です。合格後は
- 入学費
- 制服代
- 教材費
- 毎月の学費
- 施設利用費
- 保護者会費
などが必要になってきます。
シングルマザー世帯であっても、日頃の生活費に加えてこれらの費用が賄えるのであれば何の問題もありません。しかし、中には経済的な理由から「塾に行かせられない」「入学金などのまとまったお金が用意できない」「学費を払うのが難しい」という世帯があります。シングルマザー世帯の、そのような状況が「不利」という噂に繋がってきます。
宗教的な理由
私立中学校の中には、仏教やキリスト教の組織が設立に関係しているところがあります。宗教の中には離婚を禁じているものもあり、「シングルマザーやシングルファーザーだと合格率が下がる」という噂が存在する学校もあります。
しかし、宗教が関係している中学校だとしても、あくまでも噂の域をでないものと考えるようにしてください。
シングルマザーでも問題ない学校の方が多い
ここまで説明したとおり経済的な理由や宗教上の理由から「シングルマザーは中学受験に不利」だという噂はあります。しかし、実際にはシングルマザー世帯であっても、問題なく中学受験に成功している例は多いです。離婚や死別、別居などの家庭環境には左右されないという学校が大多数と考えたほうがよいでしょう。
問題は学費のことが多い
中学受験に合格し、子どもを私立中学に通わせているシングルマザー世帯はたくさんあります。特に少子化が進む現代においては、生徒数を確保しておきたいという中学校も多くなっています。
とはいえ、お金も宗教も現実的な問題であることには変わりありません。中学校を選ぶときには、3年間学費を払っていけるのか、子どもが宗教の教えによって苦悩する可能性はないか、じっくり考えてから選ぶように心掛けましょう。
中学受験、年収はいくら必要?費用を徹底解説
中学受験でシングルマザーがぶつかる経済的な理由は受験する側の問題です。実際に中学受験にはいくら必要なのか、どのくらいの年収があれば問題なく通わせられるのか、関東圏内の私立中学校を例にしてシュミレーションしてみました。
中学受験にチャレンジするときに、かかる費用は大きく分けて3つあります。ひとつは「勉強」にかかる費用、ふたつ目は「受験」にかかる費用、3つ目は「受験後」の費用です。それぞれ、どのような費用になるのか順に解説していきます。
勉強にかかる費用
受験までにかかる費用とは、塾や家庭教師、通信教育など、学校の授業以外の勉強にかかる費用になります。大手進学塾に通わせる場合、小学校6年生の1カ月の授業料(4教科)は年間約60~70万円、高いところだと80万円は必要です。これに夏期講習費や冬期講習費、志望校対策授業料などを加えると年間約120~160万円が必要になります。もちろん大手塾以外だとこれよりも低価格になりますので、近隣にある塾を比較してみるのも良いでしょう。
家庭教師の場合
家庭教師をつける場合だと、1週間に2回、4教科で月額10万~15万円ほどになり、年間にかかる費用は120~180万円前後になります。家庭教師センターによっては教材費や交通費が別途請求になっているところ、また教員免許を持っているプロなのか大学生のアルバイトかで料金が変わるところなどがありますので、事前にリサーチしておくことをおすすめします。
通信教育の場合
通信教育は1カ月に5,000~3万円ほどで、塾や家庭教師と比較するとかなり格安です。ただし、自ら進んで勉強することが前提となり、分からないところが質問できない、自己で解決するしかないというデメリットもあります。
自宅で受験勉強する習慣がついているのであれば、塾や家庭教師、通信教育は必要ではありません。得意科目は自主学習にし、苦手科目のみ塾を利用するなど、子どもにあった勉強方法を探してみることをおすすめします。
受験にかかる費用
「受験」にかかる費用は、主に受験料と入学金、制服など準備物の費用です。私立中学校の場合、受験料が1校約2~3万円前後、合格時の入学金は20~30万円になります。国公立中学校の場合は受験料が2,000~5,000円と安く、入学金も不要です。しかし受験者数が多いため、合格するには偏差値以上の学力が必要になります。
制服や体操着、指定のカバンや靴などの購入も必要です。学校によってはノートの代わりにタブレットを使用するところもあり、これらの合計費用は約30~50万円ほどになります。まとまったお金が準備できない場合は、クレジットカードによる分割決済、または銀行などの教育ローンやフリーローンを検討する必要がありそうです。
入学後の費用
文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」によると、入学後に必要な授業料・教材費・施設費・修学旅行積立費・給食費やPTA会費・その他の納付金等を合わせた学習費総額は、私立中学校平均額が年間1,406,433円、国公立中学校だと年間488,397円と公表しています。
学校によっては、修学旅行の行き先が海外のところもあります。その場合、積立金が高額になる可能性があることを視野にいれておきましょう。
その他の費用
ここまで説明した費用以外にも、学校までの通学費、毎月のお小遣い、スマホなどの通信費、高校受験に向けた塾の費用等がかかります。もちろん、これまで通り家族の生活費として家賃やローン、食費なども必要です。これらを総括すると、年収はおよそ700万円~1,000万円ほどが理想だといえるでしょう。
ただし、国や自治体ではシングルマザー世帯に対して、さまざまな補助金制度を整えています。自分の年収+補助金でどのくらいの金額になるのか試算し、年間の家計をシュミレーションしたうえで、無理のない中学校を選ぶことが大切です。
シングルマザーが貰える補助金制度
全ての子ども達に教育が行きわたるよう、国や自治体ではシングルマザー世帯に対し補助金制度を設けています。補助金によっては所得制限があるので、詳細はお住いの自治体の窓口で確認するようにしてください。
児童扶養手当
児童扶養手当は、子どもが18歳になったあと最初に迎える3月31日までもらえる補助金です。金額は自治体によって多少異なり、また所得によっても金額が変わります。一例として全額支給される場合、子どもが1人当たり月額42,910円、2人だと10,140円が加算され、3人だと6,080円が加算されます。
就学援助
就学援助には「文部科学省支援金」と、各地方自治体の「就学援助」があります。文部科学省支援金は、年収400万円未満、かつ資産保有額600万円以下の世帯を対象に最大年額10万円の補助金が支援される制度です。ただし、これは国から学校側に直接支払われるため、銀行などに振り込まれることはありません。
各地方自治体の就学援助は、生活保護受給者、または失業や倒産、災害などで年収が激減し、経済的な理由で教育を受けさせるのが難しい世帯を支援する制度です。ただし所得制限があり、母・子ども各1人だと世帯年収が約292万円以下(新宿区の場合)になります。各地域の所得制限はホームページか窓口で確認できますので、対象世帯になっているか確認することをおすすめします。
年収+補助金制度を考慮し、学校選びは慎重に
シングルマザー世帯の中学受験は、敷居が高く感じるかもしれません。しかし、受け入れ体制が整っている学校も多く、国や地方自治体の制度を利用することも可能です。制度が受けられるかどうか、塾等に費用がかけられるか、年収+助成金を考慮しながら、まずはリサーチから始めてみるとよいでしょう。
シングルマザーであっても、中学受験を成功させることは問題なくできます。この記事を参考にしてできることから、ぜひ取り組んでみてください。