家事、子ども、職場。さまざまな面からストレスのかかることが多いのがシングルマザーです。収入源は自分一人しかいないのに「もし私が病気にでもなったら…」と、シングルマザーならきっと誰しも思ったことがあるはずです。
この記事では母子家庭の母親が病気になってしまった、あるいは入院してしまった場合の援助、手当についてご紹介していきます。ご自身の収入から将来に不安を感じたことがある方は参考にしてください。
目次
どんな手当があるの?治療費が気になる
実際にシングルマザーが病気にかかったときはどんな保障が受けられるのでしょうか?ここでは一般的に利用されることの多い保障をまとめました。
傷病手当金制度
ケガや病気(勤務中以外の要因)で仕事ができなくなった場合に適用されるが傷病手当金制度です。受給について条件はありますが、1日の受給金額は1日の収入の2/3程度受け取りが可能です。なお、有給休暇取得により事業主から十分な金額が支払われている場合は適用されません。健康保険に加入している方とその家族の生活を支えるためのものですので、健康保険には必ず入っておきましょう。
ただし、注意点として国民健康保険加入者は対象外となります。会社員の方が加入する健康保険か、公務員の方が加入する共済組合のみ適用対象です。申請には申請書が必要になります。全国健康保険協会ホームページから申請署を入手することも可能です。
傷病手当金の受給対象条件
- 病気やケガが原因で仕事に就けない(勤務中以外の要因)
- 休業中に給与が支払われない、または傷病手当金より給与が少ない
- 連続して4日以上の休業が必要
高額療養費制度
高額療養費制度は、主に高額な治療費が発生した場合に利用できるものです。医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給してもらえます。
こちらも利用時は申請書が必要となりますが、あらかじめ限度額適用認定証を取得しておく利用方法が便利です。高額な医療費が発生するのがわかっている場合は、限度額適用認定証の交付手続きを受けるようにしましょう。
高額療養費の対象となるもの
- 医療保険で認められている検査
- 注射
- 薬
高額療養費対象外のもの
- 入院中の食事代
- レンタルのパジャマ代、歯ブラシ代など日用品
- 先進医療の診療代
- 差額ベッド代(例:個室に入っていた場合1日6000円などの負担。ベッド代は医療機関によって異なります)
- 自費の検査など医療保険で認められていないもの
ひとり親家庭の医療費助成制度
健康保険に加入している母子家庭、父子家庭などのひとり親家庭の方が、病気やけがで医療機関を使った場合、一部負担金を市が代わって負担する制度です。助成対象者の条件は各地方ごとに若干異なりますが、ここでは東京都の例をご紹介します。
対象者
1・児童を監護しているひとり親家庭等の母又は父
2・両親がいない児童などを養育している養育者
3・ひとり親家庭等の児童又は養育者に養育されている児童で、18歳に達した日の属する年度の末日(障害がある場合は20歳未満)までの方
対象除外
1・ひとり親家庭等の所得が限度額以上の方
2・生活保護を受けている方
3・施設等に措置により入所している方
■参考:東京都福祉保健局「ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)」
母子福祉資金貸付制度
母子福祉資金貸付制度は、ひとり親家庭の経済的自立や必要資金調達のための制度です。自治体より低金利または無利子でお金を借りることができ、返済開始までに6ヶ月~1年程の猶予期間があります。
使用用途により貸付の限度額は異なりますが、病気に限らずさまざまなシーンで利用できるのでひとり親家庭の方にとっては心強い制度です。返済期間も3~20年など長めに設定されています。ただし、受給には厳しい審査があることや申請してから貸付まで時間がかかる(2週間~1ヶ月)点がデメリットです。必要書類も多いため、あらかじめお住まいの地域の自治体ホームページなどで確認したり、担当窓口に電話をして確認したりするのをおすすめします。
審査内容
- 生活保護を受けていないこと
- 安定した収入があること
- 返済の意思があること
- 大きな借金がないこと
申請時必要書類
- ひとり親であることを証明する書類
- 世帯全員の住民票
- 戸籍謄本
- 年収を証明するもの(所得証明書や源泉徴収書)
- 返済計画書
- 印鑑証明
- その他貸付資金の種類によって必要な書類
もしもに備えて保険に入っておきましょう
ここまでの説明で、病気になってしまったときの対処法についてはおわかり頂けたと思います。しかし、病気になる前にやっておくべきことはないのでしょうか?ここではシングルマザーが病気になる前に入っておくべき保険を紹介していきます。
生命保険
生命保険は他の保険に比べ高額になります。そのためご自身に合ったものを選びましょう。人気なのは収入保障保険で、契約者(シングルマザー)に万一があった場合、月額4,000円程度で毎月10~15万円の保障金を受け取ることができます。必要な金額を必要な期間、毎月指定した受取人に届ける仕組みの保険です。
契約年数が進むにつれて保障額と保険料が安くなりますので、子供の独立や自身の定年に合わせて契約期間を決めるのが良いでしょう。デメリットは年金形式で受け取りの場合、2年目以降所得税が発生する点です。
医療保険
医療保険は高額療養費制度があるため本当に必要か賛否両論があります。たとえば、総医療費が1,000万円でも、自己負担額はわずか18万円程度です。これは標準月額報酬額が28~50万円の人の場合で、さらに収入が低ければ、自己負担額は57,600円まで下がります。
医療保険が必要と考える場合も、いろいろなプランを比較してご自身にあったものを選びましょう。
学資保険
子供の教育費を準備しておきたい人向けの保険です。銀行預金よりも利率が良く、オプションで保険料が免除されるプランを選ぶことができます。オプションの例としては、契約者(シングルマザー)に不慮の事故があった場合保険料の支払いは免除されるが、保険金は満額で受け取ることができるものがあります。
子どもはどこに預けたらいいの?頼れる人が居ない場合は
シングルマザーに万一のことがあったときは、子どもをどこに預けるかも考える必要があります。長期の入院となればママ友も頼りづらいです。両親が近くに住んでいれば安心ですがそうもいかない場合どうしたら良いのかを説明していきます。
まずは役所へ電話
まずはお住まいの地域の役所に電話しましょう。事情を説明すると、児童養護施設や乳児院等の一時預かりを紹介してくれます。児童養護施設や乳児院の職員さんはプロなので、安心して預けることができます。民間のベビーシッターや託児所より安価の上、地方自治体から補助が出る可能性もあります。
役所に説明して預かってもらえない場合は、無認可保育所やベビーシッターに頼る形になります。
■参考:中野区「一時保育・短期特例保育
まとめ:急な病気にかかっても前もって保険に入っていれば乗り越えられる
この記事でご紹介してきたとおり、予期していない病気またはケガであっても、予め保険に入っておけば問題なく乗り越えることができると言えます。シングルマザーは、何かと心配事が絶えないものですが大切なお子様と一緒に幸せな家庭を築いていけると良いですね。この記事でご紹介した制度や保険などを利用して、いざというときにどのように対応すれば良いのか考えておくようにしましょう。