シングルマザーの出産には、何かとリスクや問題がつきものです。そのような中で、子どもを産んで育てていきたい場合にはそれなりの心構えが必要となります。シングルマザーは国や自治体から補助を受け取ることができる場合もあるので、少しでも生活の足しにするためにはこちらも頭に入れておくことが大切です。
そこで、この記事ではシングルマザーの出産に必要となる手続きや、手当について紹介していきます。シングルマザーとして出産を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
シングルマザーの出産は大変?
出産は女性にとって大きな転機となるものです。出産時は肉体的にも精神的にも負担がかかりますが、本当に大変なのは出産後とも言えます。出産後は本来であれば夫婦二人で子どもを育てていくことになりますが、離婚をしていたりそもそも結婚をしていなかったりする場合には、子どもを一人で育てていかなければなりません。仕事をしながら女手一つで子どもを育てていくのは、想像以上に大変なものです。
周りの助けが欠かせない
それでも「自分一人の力で子どもを育ててみせる!」と意気込む人も多いでしょう。しかし周りの手助けは必要になりますし、一人の力では限界を迎える可能性が高いです。また、気をつけなければならないのが金銭面です。片親では稼げる額も夫婦共働きの場合と違ってくるため、経済的に難しいこともあるでしょう。そのような時には手当や助成金を受けることもできます。
シングルマザーの出産が大変なのは事実ですが大切なのは、一人で頑張りすぎないこと、利用できる制度をしっかりと利用していくことです。「知っている」だけで、助かることも多いのでご紹介する制度などをぜひチェックするようにしてください。
シングルマザーの出産に必要な手続き
シングルマザーが出産をする際には、踏まなければならないステップがあります。スムーズに子どもの出産に進むためにも一つずつ確認することが重要です。踏むべきステップを順に解説していきます。
子どもの父親に認知をしてもらう
出産をする場合は、必ず子どもの父親に認知をしてもらいましょう。「認知」というのは、生まれてくる子どもについて、父親が自分の子どもであると認めるものです。認知が必要になるのは父親のみで、女性の場合は自分の体から子どもを産んだ事実があれば母子として認められます。また、婚姻後200日が経過し、離婚の日から300日以内の子どもであれば、夫(元夫)の子どもであると推測することができるため、認知は必要ありません。
しかし婚姻や婚姻解消から相当数の時間が経っている場合には、戸籍上の子どもの父親の欄が空白になってしまいます。そこで父親であると考えられる人物に認知をしてもらうことで、子どもの父親を決めることができるのです。
養育費の請求に関わる
シングルマザーの場合には、特にこの「認知」が必要になります。認知をして子どもの父親がわかっていれば、養育費を請求することができます。しかしそうでない場合には、養育費の請求が困難になります。また、認知をすることで父親が死亡したときの相続権が子どもに発生します。
出生届を提出する
シングルマザーに限ったことではありませんが、子どもが生まれたら「出生届」を提出する必要があります。出生届は、生まれてきた子どもを戸籍に入れる手続きのことで、これを行わないと法的に子どもは「無戸籍」になってしまいます。
戸籍がなくてもこの世界に存在しているのは確かですが、戸籍がないと生きていく上で大きなデメリットとなります。戸籍に名前がないことで、検診や児童手当などの案内を受け取ることができないほか、保険証が発行されないので医療費は全額自己負担となります。
また、戸籍がないと義務教育を受けることもできませんし、銀行口座や運転免許の発行が出来ず、選挙権もありません。年金を受け取ることもできないため、老後にも苦労することになるでしょう。そのため、子どもが生まれたら我が子のために出生届を必ず届けるようにしましょう。
子どもの養育費に関する手続き
シングルマザーとして子どもを育てていく場合に、養育費を受け取るには原則として父親の認知が必要です。とはいえ認知さえしていれば養育費が自動的に受け取れるわけではありません。どの程度の養育費にするのか話し合いが必要ですし、話し合いがまとまれば公正証書を作ることが望ましいです。公正証書を作っていれば、養育費の不払いがあったときに給料差押えなどの強制執行手続きをできます。
父親との話し合いが難しい場合は、家庭裁判所に調停申立を行う必要があります。調停を通じて金額や支払い方法を決めていきます。
しっかり決めないと受け取れない可能性がある
以上のプロセスを踏まないと養育費に関する取り決めが曖昧になってしまい、親権者が不利になってしまうこともあるので注意が必要です。養育費に関する話し合いは、時間をかけてでもしっかりと行うようにしましょう。
子どもの出産をすると受け取れる手当
子どもを一人で育てていくのは、想像以上に大変なものです。自分の時間を取ることもままならないですし、子どもの万一の事態によって仕事などにも影響が出てしまうことがあるでしょう。
そして最も悩ましいのが金銭面です。一人で子どもを育てていくためには、金銭面にある程度余裕がないと難しいものです。しかし思っている以上に収入が少なく、悩んでしまうこともあるでしょう。そのような場合には、子どもの出産によって利用できる各種手当や給付金を利用するようにしてください。ここでは、子どもの出産時や育児のときに利用できる手当や給付金を紹介していきます。
出産育児一時金
出産一時金は、健康保険に加入している者が妊娠4カ月以上で出産する際に与えられる手当です。子ども一人につき42万円受け取ることができるので、シングルマザーにとっては大きな補助と言えるでしょう。
この一時金を受け取るためには、出産する病院に申請書と健康保険証を提出する必要があります。産休に入る母親にとっては大きな補助となりますし、出産をする場合にはぜひ利用したい制度です。
児童扶養手当
児童扶養手当というのは、父親と母親が離婚したり死亡したり、障害を持っていたりする子どもに支給される手当のことです。基本的には児童の養育者に支払われるので、離婚をしている場合は親権者に与えられます。また、児童扶養手当の他に児童手当もあります。こちらは子どもを育てている人全員に支給されるものなのでシングルマザーの場合は、児童手当と児童扶養手当を両方受け取ることができます。
児童育成手当
児童育成手当は、父親や母親が離婚していたり重度の障害を抱えていたり、また死亡している場合に与えられる手当です。基本的にはひとり親の親権者に給付され、子どもが18歳になるまで受け取ることができます。
自治体によってその給付額は変わってきますが、月額10000円前後のところが多いです。毎月支給ではなく年に3回4か月分ずつ支払われることが多いです。申請は各自治体の役所で行うことができるので、早めに手続きをしておきましょう。
住宅手当
住宅手当は、会社が従業員に対して支給するものです。勤務する会社に住宅手当の規定があれば、シングルマザーであっても受け取ることができます。給付のためには条件がありますが、それを満たしていれば一定の金額を受け取ることができるので便利です。
基本的には家賃や生活状況などを見て額が決定される場合もあれば、一律の金額が決められている場合もあります。従業員のモチベーションアップのために取り入れている会社は多いです。社宅でなくても従業員が住宅の手当を受けることができるのは、大きなメリットと言えるでしょう。
失業保険
失業保険はその名の通り、職を失った人に対して給付されるものです。ただし、出産や育児のために泣く泣く会社を離れなければならないシングルマザーはすぐに受給することはできません。なぜなら、失業保険は働くことが可能な人に支給されるものだからです。妊娠中や、産後すぐ働くことは難しいため失業保険の受給条件を満たさないことになるのです。
しかし、出産後に就職活動を始めるときのために失業保険受給期間の延長をすることが可能です。失業保険受給期間の延長は、自分で手続きをする必要があります。出産後に安心して就職活動をできるように、手続きを忘れないようにすることが大切です。
ひとり親家族等医療費助成制度
ひとり親家族等医療費助成制度は、子どもを育てているひとり親に給付される医療費制度です。18歳まで給付を受け取ることができますが、障害がある場合には20歳まで受取りが可能となっています。こちらも自治体によって細かい内容が異なるので、まずはチェックしておくことが大切です。
子どもが受け取ることができるだけでなく、ひとり親の場合は親もこの助成制度の対象になります。医療費の1〜3割を負担してもらうことができるので、子どもの万一の事態に備えて手続きを行っておくと良いでしょう。
高等職業訓練促進給付金
母子家庭や父子家庭の子どもが看護師、また介護福祉士などの資格を取るために1年以上の修行が必要な場合に、その期間中の生活費の負担を減らすために給付金を受け取ることができます。また、入学時においても高等職業訓練修了支援給付金を受け取ることができます。
こちらも詳しい内容は自治体によって異なるので、気になる場合には自治体窓口に問い合わせてみると良いでしょう。
自立支援教育訓練給付金
自立支援教育訓練給付金は、母子家庭や父子家庭のようにひとり親世帯に給付される給付金です。職業能力向上のために指定の講座を受ける場合、その経費や受講費の一部を給付してもらうことができます。利用は1回のみに限られますが、うまく利用することでスキルアップや収入アップにも役立てることが可能です。
手続きには申請書を提出する必要があるので、気になる場合にはまずは問い合わせをして詳しい内容を聞いてみると良いでしょう。
未婚で出産する際の覚悟
未婚で出産をするのは、生易しいものではありません。精神的にも肉体的にも負担が大きくなってしまいますが、きちんと心構えを固めておけば気持ちも軽くなります。そこで、ここではシングルマザーとして出産をする際の覚悟について重要なポイントを紹介していきます。
自分で全てやろうと思わない
シングルマザーは、本来助け合うはずのパートナーがいません。それだけでも生活はハードになってしまいますが、子育ては夫婦が全てというわけでもありません。家族や友達など、周りにはたくさんの人がいるので、困った時には周りの人を頼るようにしましょう。そうすることで周りとの関係も円滑になりますし、子育てをストレスなくできるようになります。
自分だけで全てをやろうと思ってもうまくはいかないので、このことはしっかりと頭に入れておきましょう。
経済的な面で苦労する
シングルマザーは子どものことを考えるとバリバリと働いて給料をたくさんもらいたいと考えることもあるでしょう。しかし、子どもの世話を基本的に自分がやらなければならないとなると、仕事もセーブせざるをえません。
そうなると正社員などではたらくのも難しくなるため、経済的な面で負担が大きくなります。一人で二人分のお金を稼がなければならないので、生活もどんどん苦しくなってしまうのです。周りに援助をお願いするなどして、負担が大きくなりすぎないようにすることが大切です。
子どもだけでなく自分の一生も左右する
シングルマザーといっても一人の人間です。しかし育児に追われていると、いつの間にかこんなに年を取ってしまっていた!なんていうこともあるでしょう。子どもと共に人生を歩むことは幸せなことではありますが、育児に追われて自分の人生を二の次にするのは避けたいものです。
シングルマザーである以上、ある程度自分の人生を子どもに捧げる覚悟というのは重要になってきます。しかしそればかりにとらわれていると精神的にも疲弊してしまうので、困ったら周りにSOSを出しましょう。
子どもの将来に影響がある
日本はまだまだ両親がいないといけないと古い考えを持っている人もいます。そのため、シングルマザーというだけで好奇の目で見られることもあるでしょう。これはシングルマザーの宿命とも言えるもので、避けて通ることは難しいです。
基本的に周りからどう思われるのかということは、極力気にしないのが一番です。ただし、両親がいないことで子どもの将来に多少なりとも影響があることは心に留めておきましょう。
ポジティブには考えない
シングルマザーである以上は、ポジティブに前向きに頑張っていこう!というその心意気はもちろん大切です。しかしだからと言って、ポジティブになりすぎるのもよくありません。ネガティブな考え方は人の注意力を高めるので、それはそれで重要なことなのです。楽観的になりすぎずにきちんと現実を見て、子育てを頑張っていくようにしましょう。
まとめ:助成制度を利用して、無理なく子育てを頑張ろう!
この記事では、シングルマザーが出産をするときの問題への対処法について紹介してきました。シングルマザーは、どうしても生活の面で負担が大きくなってしまいますが、世の中にはたくさんの助成制度や手当があるので上手に利用して、生活に支障が出ないようにしてください。
苦しくても賢く育児を行うことが大切です。利用できる制度は利用して、一人で頑張りすぎないように周りに頼りながら子どもと楽しく暮らしていけるようにしていきましょう。