一般的には、シングルマザーの転職は難しいとされています。転職活動が上手くいかず妥協して転職先を決めたことで、後悔しているシングルマザーもいます。シングルマザーが納得がいく転職をするにはどうすれば良かったのでしょうか?またシングルマザーに向いている職種とはなんでしょうか?

このように、転職に悩むシングルマザーは多いです。そこで、この記事ではシングルマザーの転職について詳しく解説していきます。転職を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

シングルマザーが転職を考える理由

離婚したシングルマザーの約半数は、今の仕事を続けるかどうか決断を迫られます。厚生労働省の調査により、シングルマザーの45.5%は母子家庭になったのをきっかけに転職していると明らかになっています。

前職を退職せざる得ないシングルマザーたちは、どのような問題や不安を抱えていたのでしょうか?ここでは、シングルマザーが仕事を変えた理由を、最も多い回答から順に紹介していきます。

■参考:厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

1位「収入に対する不安」

シングルマザーになるときの転職理由としては、やはり収入に関する問題が圧倒的に多いです。母子家庭において母自身の平均年間就労収入は200万円で、1ヶ月あたりで計算すると月額約16万円なので、確かに子どもをひとりで養うには苦しい金額になっています。

もちろん自分の給与だけではなく国や地方自治体からの支援も受けられますが、安心できるのは子どもが幼い頃だけです。中学生以上になると塾代や部活の活動費が必要な場合があります。さらに、携帯代・日用品など細かな雑費や食費なども子どもの成長と共に自然と増えるでしょう。

養育費の有無によっても異なる

この点に関しては、母親の収入だけではなく元夫からもらう養育費の有無も生活に大きく影響してきます。しかし、元夫とはもう関わりを持ちたくないと最初から受け取らないシングルマザーも多くいます。また養育費の約束をしていても、相手に支払い能力がなく少額しか請求できないケースや、途中から支払いが滞りトラブルに発展するケースも多いです。

やはり確実な収入源は自分だけが頼りになるのが現実でしょう。生活に困らない貯蓄がすでにあるか、離婚前から十分な年収を見込める会社に勤めていない限り不安は解消されません。そのため、シングルマザーになって早い段階から将来を見据えて転職を決断するのは、自然な流れといえるでしょう。

■参考:厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

2位「労働時間が合わない」

世の中の会社は、働くママに理解のあるところばかりではありません。そのため、子どもがいても急な残業が発生したり突然の休みの変更であったりすることが多いです。特に正社員で働いていると、スケジュール通りにいかない場面が多々あるかと思います。

離婚前は夫と協力すれば大体の問題は解決できていたことでしょう。しかし、シングルマザーになり予定通りにいかない職場で働くことに、限界や不安を感じている人が多くなります。残業があれば延長保育で子どもの世話をお願いできることもあります。とはいえ、これにも時間に限りがあり追加料金もかかります。

子どもを預ける機会が増えてしまう

突然休みが変わったときも、近くに頼れる存在がいなければベビーシッターやファミリーサポートをお願いする他ありませんが、利用したい日に必ず予約が取れるかも分かりません。なにより生活のためとはいえ、預ける機会が増え子どもに寂しい思いをさせるのは心苦しいと思うシングルマザーも多いのでしょう。このような事情から、できるだけ働く女性を受け入れてくれる職場への転職を希望する場合が多くなっています。

3位「職場と自宅が遠い」

日々忙しく時間に追われているようなに感じるシングルマザーは多いです。そんなシングルマザーにとって、自宅と職場の距離が遠いのは大きな負担であり避けたい問題のひとつになります。

自宅との距離だけではなく、保育園の距離まで遠かったり逆方向だったりすると、お迎えの時間にも影響するためタイムスケジュールに余裕が生まれず、体力的にも精神的にも疲労を感じる原因になります。また発熱など急な体調不良で呼び出しの連絡があっても、すぐに駆け付けられないもどかしさも感じるかもしれません。

このように、自宅と職場や保育園の位置関係はシングルマザーにとっては重要な条件になります。より働きやすい環境を求めて、移動時間を短縮できる転職先を探すのは自然なことと言えるでしょう。

「周囲の理解が得られない」

調査報告の、回答項目にはなくその他に分類されているかもしれない意見として、シングルマザーへの風当たりの強さも退職する理由のひとつとして考えられます。

周りとしてもシングルマザーをサポートしたい気持ちはあるけれど、急な早退や欠勤分の業務をカバーするのは大変なことです。そのため、シングルマザーに対して不満を持つ人も出てきます。どちらの立場が良いか悪いかではなく、会社としてシステムが整っていないのが問題です。

このように、職場に居づらい雰囲気を感じ精神的につらい思いをしているシングルマザーもいます。会社の体制を振り返り今後働きにくい職場と判断した場合も、転職を考えるきっかけになります。

転職するメリットとデメリット

ここまでシングルマザーが仕事を変える理由は、働く目的や環境が変わり、離婚前と同じ状態では子どもとの生活を守れないためであることを解説してきました。しかし問題解決のための転職が上手くいかず、転職はしたものの失敗したと感じているシングルマザーも多いです。

仕事を変えただけでは解消できない問題があるのでしょうか?そこで、ここではシングルマザーが仕事を変えた理由と共に、メリットとデメリットを解説していきます。

メリット1:収入アップへの期待

シングルマザーが最も不安を感じているお金の問題ですが、転職することで解決することが多いです。収入をアップさせるスムーズな転職方法は、今までの経験や実績を求めている経験者優遇求人に応募し、前職より高い給与額を提示している会社を選ぶことです。

しかし、まだ子どもが幼いのなら現時点での収入よりも、将来性を重視して選ぶのもひとつの選択として考えてよいでしょう。例えば、今後伸びる業界に転職したり、未経験でもキャリアを積めば大幅な昇給が期待できたり、すぐに収入は上がらなくても数年後、安定したお給料を得られたりするのであれば有益な決断となります。

雇用形態をチェック!

また前職がパートであれば雇用形態が社員になるだけで、福利厚生の対象となり、交通費支給や家族手当・住宅手当などを受け事実上の収入アップを見込める可能性があります。今の給与に不安があるなら、転職をすることで評価する側や業界を変える解決方法が手っ取り早いです。収入がアップすると、転職のメリットも感じやすいでしょう。

メリット2:働きやすい環境

シングルマザーへの支援制度が整っていないばかりに、さまざまな不安やストレスを抱えていたのなら転職により働きやすい環境になる場合が多いです。女性社員が多く産休や育児休暇・時短勤務制度を導入している会社には、同じ経験を持つからこそお互いの事情を受け入れ、協力する風土が根付いている可能性が高いでしょう。

また、育児経験のある女性管理職がいれば、残業や休日出勤が発生したとしても事情を相談しやすいのはもちろん、ママでもキャリアアップを目指せるという目標にもなります。子どものためだけではなく、子持ち女性でも昇進を目指し意欲的に働ける職場があるというのは、自分自身の人生をより豊かにするチャンスになります。

理解を得にくい職場でひとり頑張るより、周りと協力し前向きな気持ちで業務に取り組める環境の職場に転職すると、働きやすさを感じられるはずです。

メリット3:通勤時間の短縮

転職し勤務地が近くなるだけで1日のスケジュールに余裕が生まれ、体力的にも精神的にも楽になります。また子どもの急な発熱や体調不良はもちろん自然災害が起こった場合、すぐ対応できる距離にいることで得られる安心感は、理想的な職場の条件のひとつといえます。

このようにシングルマザーが抱えていた不安や悩みは、所属先を変えれば解決できる問題である可能性が高く、転職自体はメリットが大きいように思います。特に通勤時間の短縮に関しては、収入をアップさせることよりも容易に実現させることができます。

デメリット1:精神的負担

ここからは転職によるデメリットを解説していきます。転職する準備として求人情報のチェック、履歴書や職務経歴書を作成し面接に合わせて子どもの預け先も考えるなどやるべき作業は多岐にわたります。時間の自由が少ないシングルマザーは、転職をするための準備時間を確保するだけでも大変なのが現実です。

それに加え、離婚により母子家庭になったのを機に転職活動を始めたシングルマザーのなかには、精神的に辛い状況の中で転職活動をするのは負担がかなり重たくなります。今後の生活に対する不安はもちろん日々の忙しさや疲労が溜るなか、さらに転職活動を始めなくてはならない負担が重なり、つらい気持ちになる時もあるでしょう。

デメリット2:焦りからくる転職失敗

忙しい状況で転職活動をすると、転職の目的を見失ってしまう場合があります。シングルマザーが求人応募してきたときに採用側は、子どもの預け先や急な呼び出し時の対応など、ある程度働ける環境や対処法をシングルマザーが用意できているのか不安を感じています。

採用側が求める条件をクリアできず不採用が続いた場合、焦りからつい企業側に歩み寄った回答をして、のちに後悔するケースがあります。精神的に余裕がないときほど気持ちがぶれてしまいがちで、譲れる範囲を広くしすぎると頑張りきれない状況に悩まされる日が訪れ、転職失敗と感じる原因となるでしょう。

基準を明確にしておく

もちろん全て希望通りの職場を探すのは難しく譲歩は必要ですが、折り合いをつける時にはどこまでなら譲れるか明確にしなくてはなりません。転職の目的は今の自分に合った職場を探すためであり、単に新しい会社へ入社するための活動ではない点を忘れず取り組みましょう。

デメリット3:必ずしも問題が解決されるかは分からない

当初の目的や希望通りの会社に就職できたとしても、実際に働いてギャップを感じることも少なくありません。働くママへのサポート体制があると面接で聞いたのに、現場では上手く機能していなかったり、新しい職場の人間関係に馴染めなかったり、前職とは別の問題を抱える場合もあるでしょう。だからこそ働くうえで譲れる条件や範囲を明確にして、デメリットが発生しても納得がいく環境を選び後悔しない転職をすることが大切です。

シングルマザーにおすすめの転職先

転職先を選ぶときにシングルマザーに向いている職種や業界を知っておくのは大切です。ここではシングルマザーにおすすめの転職先をご紹介します。

介護士

介護業界は生活状況に合わせて多様な働き方が用意されています。子どもが幼い内は日中に働けるデイサービスや訪問介護を選択、成長に合わせて夜勤のある職場に転職し夜勤手当を貰えば、子どもが大きくなり増えた出費分をカバーもできるでしょう。

働く場所や種類が多く、昇給やボーナス以外で確実に収入を上げられる手段があるのは、介護士の魅力のひとつです。また働き手が不足している業界のため求人数は常に多く、入社時に資格や経験を問われない場合がほとんどでしょう。高齢化が進む日本において将来性があり男性より女性が活躍している介護業界なら、働きながらキャリアアップを目指し意欲的に働ける仕事になります。

保険外交員

保険外交員は、自分で1日の予定を組めるので時間の融通が利きやすいのが魅力です。基本的に個人で動く仕事なので、突発的に保育園へのお迎えが必要になった場合もスケジュール調整さえ問題なければ休みやすく気持ち的に楽な環境でしょう

それに加えて保険業界では女性の雇用率が高く、厚生労働省が子育て支援企業を認定した「くるみんマーク」を取得している会社も多いので、働く女性へのサポートや理解の深さも期待できます。営業職は成果が歩合としてお給料に反映するので、自分の頑張り次第で年収が上がるためやりがいを感じやすいのも魅力です。未経験者からの応募を歓迎している企業が多いため、コミュニケーション力に自信のあるシングルマザーにぴったりの仕事でしょう。

コールセンター

コールセンターはライフスタイルに合わせた働き方を選べる、派遣社員を積極的に雇用している企業が多いです。そのためフルタイム勤務は難しいけれど一定の収入を確保したいシングルマザーにとって、パートより時給が高い傾向にある派遣社員として働けるコールセンターは魅力的でしょう。

また子育てが落ち着く時期になったら紹介予定派遣制度を利用し、正社員へステップアップする選択肢があるのも嬉しいポイントです。ひとつの業務に対して従事しているスタッフ数が多く、急にひとり欠けても融通が利きやすい職場であり、なかにはパソコンがあれば在宅勤務OKの会社もあります。コールセンターであれば、シングルマザーの希望に添った働き方を実現できる可能性が高いです。

看護師

高収入で安定性がある職種を選ぶなら看護師がおすすめです。資格取得のための勉強期間が必要ではありますが、高等職業訓練促進給付金等事業を利用すれば、経済的支援を受けながらシングルマザーも看護師になるための勉強ができます。

勤め先は学校や企業の保険師・検診センターなど病院以外の仕事や、夜勤の必要がない職場など働き口も多様であり、そのときの生活状況に合った勤務先を選べます。そして看護師になる最大のメリットは、男性と同じくらいの収入を得られることです。看護師になれれば、多くのシングルマザーが感じる収入面の不安を解消できるでしょう。お金の不安を確実に解決したいシングルマザーは、将来を見据えてチャレンジしてみることを検討してみてください。

医療事務

病院の数だけ就職先があるので勤務地の数も多く、自宅や駅から近いなど自分に合う場所にある病院を選べば通勤時間に余裕が生まれます。時間の短縮は家事に育児に忙しいシングルマザーにとって、最大のメリットといえるでしょう。

また医療事務は未経験OKの場合は特に一般事務経験者を歓迎している傾向があり、勤務経験が一度でもあれば今後ブランクが発生しても再就職しやすいのが特徴です。基本的に残業も少なく日祝は休める病院も多いので、週末はクラブ活動で送迎が必要など、子どもとの予定が合わせやすいのも嬉しいポイントでしょう。

まとめ:シングルマザーが譲れない条件を明確にしよう

ひとりで子育てや家事を担うシングルマザーにとって、仕事をするうえで譲れない条件が必ずあるはずです。しかし気持ちに余裕がなくなると、譲歩できない条件や転職する目的を見失うときもあるかもしれません。

転職活動がつらいと感じたときは、働くママを応援している求人サイトを積極的に活用してみたり、ひとりで悩まずシングルマザーの就業支援制度に相談してみたり、工夫して取り組んでみましょう。そして時には立ち止まり、気持ちの整理をしながら転職活動に取り組むのが満足できる転職への近道になるはずです。

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